介護食製造工場のMBR運転改善

3mL
改善前ろ過量(5C紙)
20mL以上
改善後ろ過量(5C紙)
急減
膜槽・曝気槽の発泡
改善
MBR吸引圧力
BEFORE 改善前
改善前の汚泥中の油脂分の状況
AFTER 改善後
改善後の汚泥中の油脂分の状況
DATA 導入前後のデータ
導入前後のデータ比較

油脂処理剤と前処理の運用改善で、MBRのろ過性を規定値まで回復。

RESULT
ドレイン浄の常時点滴とスーパーバルセイバーの短期投入を組み合わせることで、悪化していた汚泥のろ過性を規定値まで回復できました。
5Cろ紙ろ過量は3mLから20mL以上へと改善し、曝気槽・膜槽での油脂性発泡も急減しました。
設備更新や膜交換に頼らなくても、処理剤と運用の組み合わせだけでろ過性が回復した事例です。

生産品目が変わるたびに、汚泥の状態が崩れていった。

この工場では毎日の生産品目に応じて流入する油脂分の濃度が大きく変動します。その影響がMBRの汚泥状態に直結し、ろ過性の悪化と吸引圧力の上昇が繰り返されていました。さらに油脂性の発泡が増え、安定した膜運転が難しい状況が続いていました。

導入前の状況

  • 💧
    汚泥ろ過性の悪化
    5Cろ紙ろ過量が3mL程度まで低下し、MBR膜への負荷が増大していました。
  • 🌊
    油脂性発泡の増加
    曝気槽・膜槽での油脂性発泡が増加し、処理の安定性が損なわれていました。
  • 📊
    品目変化に応じた運用調整がなかった
    生産品目の変化に合わせた前処理条件の見直しが行われておらず、油脂負荷の変動が曝気槽へそのまま流入し続けていました。
介護食や惣菜系の製造工場では、品目切り替えによる油脂負荷の変動がMBR汚泥に影響しやすい傾向があります。定期的にろ過性が落ちる場合は、流入水の油脂濃度の時系列変動に注目すると糸口が見えることがあります。

多量の油脂分が生物処理を阻害し、ろ過性の悪化に繋がっていた。

日々の生産品目の違いにより、排水中の油脂分濃度が大きく変動します。油脂が大量に曝気槽へ流入すると、活性汚泥の生物処理が阻害され、汚泥のろ過性が低下します。さらに前処理(加圧浮上装置)の運用条件が見直されていなかったことで、油脂の除去が不十分な状態が続いていました。

5Cろ紙ろ過量
3 mL
ろ過性悪化の状態
油脂負荷の変動大 前処理条件の未調整 生物処理の阻害 発泡・吸引圧力の上昇
5Cろ紙ろ過量
20 mL以上
規定値まで回復
油脂を前段で継続除去 前処理条件を最適化
MBR設備では、油脂分が活性汚泥に混入すると汚泥の沈降性・ろ過性が同時に低下しやすく、膜差圧の上昇につながる傾向があります。油脂除去は曝気槽の前段で抑えることが重要です。

即効性と恒久性を組み合わせた、
2段階の油脂対策を実施。

まずスーパーバルセイバーを短期集中で投入し、悪化した曝気槽・膜槽の状態を速やかに改善しました。並行してドレイン浄の原水槽への常時点滴を開始し、流入する油脂分を前段で継続的に処理する体制を整えました。加圧浮上装置の無機凝集剤を停止するなど、前処理の運用条件も同時に見直しました。

導入製品
ドレイン浄、スーパーバルセイバー
ドレイン浄は、原水槽や前処理槽への連続点滴に適した油脂分解型の処理剤です。流入する油脂を生物処理槽の前段で分解・乳化することで、活性汚泥への負荷を継続的に軽減します。スーパーバルセイバーは即効性が高く、悪化した汚泥状態の緊急改善として短期集中で使用しました。
  • 前段での油脂の継続分解
  • MBR膜への油脂負荷を軽減
  • 即効性製剤との組み合わせ対応
  • 無機凝集剤の削減に貢献
  • 生産品目の変動に対応しやすい
ドレイン浄 製品画像 製品詳細を見る →
油脂負荷の変動が大きい施設では、即効性の高い処理剤で状態を安定させてから継続添加の体制に移行する方が、安定した効果が得られやすい傾向があります。

ろ過量が3mLから20mL以上へ。発泡も急減し、膜運転が安定。

5Cろ紙ろ過量
3→20mL以上
規定値まで回復(改善前比で約7倍)
MBR吸引圧力も改善
改善前
3mL
/回(5Cろ紙ろ過量)
改善後
20mL以上
/回(5Cろ紙ろ過量)
ろ過性の改善と同時に吸引圧力の悪化も抑えられており、膜への負荷が軽減されています。発泡が急減したことで、日常の運転管理の手間も大幅に減りました。

品目ごとの油脂負荷を把握してから、処理剤の量を決める。

介護食や惣菜を扱う製造ラインでは、品目によって排水中の油脂濃度が数倍単位で変わることがあります。この工場でも、どの品目のときに油脂が多く流入するかを確認したうえで、処理剤の投入量と前処理の条件を調整しました。スポット的な水質データだけでなく、時系列での変動幅を把握しておくことが適切な対応の前提になります。

流入油脂量の把握が不十分なまま投入量を固定してしまうと、変動時に量が不足して効果が出ないまま時間が経過する可能性があります。添加後の汚泥状態の変化を観察しながら量を調整することが、成功の鍵になります。

同じ手順を踏んでも、うまくいかないことがあるケース。

油脂処理剤の導入自体は難しくありませんが、施設の状況によっては期待した効果が出にくいケースもあります。この工場の事例をもとに、よくある失敗パターンを紹介します。

📉
投入量が実態に合っていなかった
流入する油脂分の変動が大きい施設では、スポット的な分析値をもとに投入量を決めると不足するケースがあります。実際に添加後の汚泥の反応をみながら段階的に調整することが必要です。
⚖️
汚泥の基本バランスが崩れていた
油脂処理剤を投入しても、F/M比や栄養塩類のバランスが大きく乱れている場合は活性汚泥の改善に繋がりにくいことがあります。汚泥の基本的な健全性の確認も並行して行う必要があります。
「処理剤を変えれば解決する」という思い込みが失敗を招くことがあります。流入水の変動・汚泥の状態・前処理の条件をあわせて確認することが、対策の前提です。

油脂と汚泥の両方を見直して、MBRの安定運転を取り戻す。

この事例では、油脂処理剤の選択と前処理運用の見直しという2つのアプローチを組み合わせることで、悪化していたMBRのろ過性を規定値まで回復させることができました。大がかりな設備改造は必要なく、処理剤と運用条件の最適化だけで改善できた点が特徴です。汚泥のろ過性悪化は一見すると膜の問題に見えますが、根本的な原因が流入水の油脂負荷にあるケースは少なくありません。

「膜を交換しないと改善しない」と思っていても、実は流入水の油脂管理と処理剤の見直しで回復できる可能性があります。現状のデータをお持ちであれば、簡単なヒアリングだけでもお気軽にご相談ください。

「うちの施設でも改善できる?」まずはお気軽にご相談ください。

現状のMBR運転状況や流入水の水質データをヒアリングしながら、改善の可能性をご提案します。

無料相談・お問い合わせ →

画像は保護されています。